これは、トレードの世界に足を踏み入れた僕の友人の物語だ。彼が自ら道を切り拓こうとした経験が、稼ぐことやトレードに興味がある皆さんの参考になればと思う。
仮に彼の名前をAとしよう。Aはなかなかのイケメンで、学歴も学部・修士ともに211工程以上の名門校出身。幼い頃から成績優秀で地頭も良く、大学時代はいわゆる「デキる学生」として、考えうる限りの栄誉を総なめにして南部の985工程(超一流大学)の院に進学した。
ここで一つ知っておいてほしい。高学歴な人間には共通の「病」がある。それは、目に見えることはすべて自分なら難なくこなせると自惚れてしまうことだ。そして、それが彼らの致命的な弱点にもなる。
Aも例外ではなかった。僕らが普段からよくつるんでいたこともあり、彼は僕のチームがトレードでかなり利益を出していることを知っていた。ある日、Aは僕を食事に誘い、「どうすればトレードができるようになるか」を相談してきた。どの取引所に登録すべきか、といった具体的な話からだ。
さすがだと思ったのは、彼の情報収集能力の高さだ。何事も飲み込みが異常に早く、あっという間に取引所の使い方や各種ボタンの仕組み、裏側のロジックまでを把握してしまった。
しかし、次にトレード学習者にとって最初の壁がやってくる。「注文を出す」ことだ。実際にUSDTを入金し、最初の一歩を踏み出すには相当な勇気がいる。それまで学んだ知識を、身銭を切って実践に移さなければならないからだ。
金融トレードというのは、一見すると非常にシンプルな商売に見える。例えば、ビットコイン(BTC)の価格が今いい感じだと思えば、「買い」をクリックして10倍のレバレッジをかける。BTCが1%上がったところで売れば、元本に対して10%の利益が出る。そこで利確して、おしまい。
この「ロング(買い)」と「ショート(売り)」という二つのボタンしかないシンプルさ、そして期待値の高さが、人にギャンブルの火をつけてしまう。だからこそ、上げ相場だろうが下げ相場だろうが、常に多くの人間が強制ロスカット(破産)を食らうのだ。
Aは非常に慎重だった。最初は順調に利益を出し、彼なりにトレード観を語り始めた。「これ、実はそんなに難しくないね。チャンスさえ掴めれば……」と。まあ、安く買って高く売れば儲かるという理屈は、確かにその通りなのだが。
その後、相場がレンジ(横ばい)に入ると、Aはそれまでの利益をすべて吐き出した。そこでようやく自分の力不足を悟り、トレードの知識を本格的に学び始めた。トレードの世界には、それこそ「派閥」が山ほどある。チャンルン(纏論)、裸K(プライスアクション)、インジケーター、テクニカル流、フィボナッチ、ギャン、ダウ理論……。
学究肌のAは、あろうことか全ての流派を網羅してしまった。ところが、学べば学ぶほど、また負け始める。985工程の院生である自分が、なぜこんなに苦戦するのか。ある時、Aとこんな会話をした。
A:「知っている限りの手法は全部学んだはずなのに、全然うまくいかない。お前らはどうやって利益を出してるんだ?」
僕:「僕らも散々負けた末に、ようやく自分たちの『トレードシステム』を構築して、それでやっとトレーダーたちが勝てるようになったんだよ」
A:「『システム』なんて抽象的すぎて怪しいな。もっと金融の論文や、コンピューターによるクオンツ・トレードの論文を調べてみるよ。そうしないと、このまま負け続けるわけにはいかない」
ここで僕らの道は分かれた。彼の考えが正しいかどうかは断言できないが、少なくとも僕は、金融の専門家がトレードの怪物になった例を一度も見たことがない。たとえ彼らが、スマホの画面越しに見る「ファンドマネージャー」だったとしてもだ。
その後、AはC9(中国のトップ9大学)のコンピューターや金融の「大物」たちを訪ね歩いた。その面々の肩書きは恐ろしいほど立派で、日々さまざまな会議に出席し、メディアやSNSでもてはやされているような連中だ。
ある日、Aが言った。あるグループに入ったのだという。そこにはクオンツの手法や数式、アルゴリズムが溢れていて、管理人はC9の大学を卒業後、アメリカのアイビーリーグで金融の修士を取り、数々の国際会議に参加している人物だそうだ。Aはその資料を必死に読み込んでいた。
もちろん、僕は自分の意見を押し付けたりはしない。ただ、もしその人物が本当にそれほど凄いなら、判断基準は一つだ。「その人物の実際のトレード履歴(約定履歴)と収益曲線を見せてくれるか?」
もし君が、いわゆる「アカデミックな雰囲気」に惑わされそうになったら、一度考えてみてほしい。もしC9クラスの大学教授の学術的な能力が、そのままトレード能力に変換できるのだとしたら(本当に実力がある前提だが)、彼は一体どれほど恐ろしいトレーダーになっているはずだろうか?
